腰が痛いとき、多くの方が「腰のどこが痛いか」を気にされます。ですが対策を決めるうえで大事なのは、どの動きで痛むかのほうです。同じ「腰が痛い」でも、前にかがむとつらい方と反らすとつらい方では、選ぶべき運動が正反対になります。この記事では痛む動きから腰痛を4つのタイプに分け、それぞれで避けたい運動と進めたい運動を整理します。

腰痛は痛む動きから考える

痛む場所だけでは決まりません

「右の腰が痛い」「ベルトのあたりが重い」。こうした情報は大切ですが、それだけでは次の一手が決まりません。腰は前後・左右・回転のすべてに動く場所です。どの方向に動かしたときに痛みが出るかで、負担が集中している組織が変わります。

たとえば前にかがむと痛む場合、背骨の前側にある組織に圧が集まっている可能性があります。反らすと痛む場合は、背骨の後ろ側で骨と骨が近づく動きが関係していることがあります。方向が違えば、同じストレッチが助けにも負担にもなります。

ここを飛ばして「腰痛に効く体操」をまとめて試すと、合わない動きも混ざります。痛みが減らないまま「運動は自分に合わない」と感じてしまう方も少なくありません。

3日間の記録でタイプが見えます

ご自宅でできる方法として、3日間の記録をおすすめしています。難しい判断は要りません。次の4つを、朝と夕方の2回だけメモしてみてください。

  • 前にかがむときの痛み
  • 腰を反らすときの痛み
  • 体をひねったときの左右差
  • 座り続けたあと立つときの痛み

靴下をはく、上の棚に手を伸ばす。こうした日常の動きで確かめると分かりやすくなります。

痛みは0から10の数字で書くと比べやすくなります。0が痛みなし、10が最も強い状態です。3日続けると、いつもつらい動きが1つか2つに絞れてきます。そこが今のご自身のタイプです。

この記録は専門家に相談するときにも役立ちます。言葉にしづらい痛みが、数字と動作名で伝わります。

動きで分かる腰痛の4タイプ

ここからは4つのタイプを見ていきます。複数に当てはまることもありますが、まずはいちばん困っている動きを1つ選んでください。

①前かがみ型:かがむとつらい

靴下をはく、洗面台で顔を洗う、床の荷物を持ち上げる。こうした前かがみの動きでつらくなるタイプです。長時間座ったあとに強くなる方も多くいらっしゃいます。デスクワーク中心の生活で最も多いパターンです。

背中を丸めた姿勢が続くと、この方向への負担が積み重なります。座り姿勢で骨盤が後ろに倒れ、腰が丸まったまま固定されている時間が長い方は、このタイプに当てはまりやすいと考えられます。

②反らすとつらい型:立ち続けるとつらい

反対に、腰を反らす動きでつらくなるタイプです。立ちっぱなし、上を見上げる動作、うつ伏せで寝る姿勢で痛みが出ます。座ると楽になる、前かがみのほうが安心と感じる方は、このタイプです。

もともと腰の反りが強い方、お腹まわりを支える力が抜けている方に見られます。電車で立っている時間が長い方から、帰宅するころにつらくなると伺うこともあります。

③ひねる・片側型:左右で差がある

体をひねると片側だけ痛む、いつも同じ側だけ重いというタイプです。動作の癖が左右差をつくっている場合があります。

心当たりを探してみてください。カバンをいつも同じ肩にかけていないでしょうか。座るときに片脚を組む癖はないでしょうか。立っているとき、片脚に体重を預けていないでしょうか。日常の小さな偏りが、片側への負担として積み上がります。

④動かないとつらい型:じっとすると重い

特定の方向というより、同じ姿勢が続くことでつらくなるタイプです。座り続けたあとの立ち上がりがつらい、朝起きたときに固まっている、歩き出すと少し楽になる。こうした特徴があります。

このタイプは見落とされやすいのですが、実際のご相談ではとても多く見られます。動きの制限が主な問題ではなく、動かない時間の長さそのものが負担になっています。

つらくなる場面 まず優先したいこと
①前かがみ型 靴下をはく/床の物を持つ/長時間座ったあと 股関節から曲げる動作の練習
②反らすとつらい型 立ち続ける/上を見る/うつ伏せ 腰の反りを抑える力
③ひねる・片側型 体をひねる/いつも同じ側が重い 左右差をつくっている日常の癖の修正
④動かないとつらい型 座り続けたあと/起床時/同じ姿勢 姿勢を変える習慣づくり

※上記はあくまで整理のための目安です。痛みの原因は一人ひとり異なるため、正確な診断には医療機関の受診が必要になります。

理学療法士の視点:腰は「動かされすぎ」ている

胸と股関節がサボると、腰が肩代わりします

体を前に曲げる、後ろに反らす、ひねる。これらは腰だけの仕事ではありません。背骨の胸の部分(胸椎・きょうつい)と股関節が、本来はしっかり分担しています。

ところが胸椎が硬くなると、ひねる動きの多くを腰が引き受けます。股関節が硬くなると、前にかがむ動きを腰の丸まりで代わりに出すことになります。腰そのものが悪いというより、周りが動かないぶん腰が動かされすぎている状態です。

だから腰だけをほぐしても、しばらくすると元に戻ります。動きの分担を取り戻さないかぎり、腰に集まる負担の量そのものが変わらないためです。

腹圧が抜けると支えを失います

お腹の中には、体を内側から支える仕組みがあります。横隔膜(おうかくまく・呼吸で上下する筋肉)、腹横筋(ふくおうきん・お腹をコルセットのように取り巻く筋肉)、多裂筋(たれつきん・背骨に直接つく細かい筋肉)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん・骨盤の底でハンモックのように支える筋肉)。この4つがそろって働くと、お腹の中の圧が高まり、背骨が内側から支えられます。

浅い呼吸が続いたり、長時間の座り姿勢でお腹がつぶれていると、この仕組みが働きにくくなります。すると腰の細かい部分だけで体を支えることになり、負担が一点に集まります。腹筋の回数を増やす前に、呼吸と一緒にこの支えを働かせる練習から入るほうが結果につながりやすいと考えています。

最初の仕事は「痛くない範囲」を決めること

痛みがある状態で運動を始めるとき、最初にやるべきは負荷を上げることではありません。痛みの出ない範囲を確認することです。

たとえば前かがみでつらい方なら、股関節から折るように曲げれば痛みが出ないことがよくあります。その範囲でなら、脚やお尻を鍛える運動は問題なく行えます。範囲が決まれば、できることは意外と多く残っています。

この見極めは、姿勢や動きを評価する訓練を受けた人間の役割です。当店のトレーナーが全員理学療法士である理由はここにあります。詳しくは当店が大切にしている5つの特徴理学療法士のトレーナー紹介をご覧ください。

タイプ別・やって良い運動と避けたい運動

タイプが見えてきたら、選ぶ運動を絞ります。ここでは避けたい動きと、代わりに進めたい動きをセットにして挙げていきます。

①前かがみ型/②反らすとつらい型

①前かがみ型では、床から重い物を持ち上げる種目や、背中を丸めた腹筋運動は負担が集まりやすくなります。長く座り続けることも同じです。代わりに、お尻と太もも裏を使って股関節から折る動きの練習が向きます。椅子から立つ・座るをゆっくり行うだけでも良い練習になります。

②反らすとつらい型では、腰を反らす方向のストレッチや、うつ伏せで背中を反らす種目は控えめにします。頭上に重い物を持ち上げる動きも、腰が反りやすいため注意が必要です。向くのは、お腹まわりを使って腰の反りを抑えたまま手足を動かす運動です。仰向けで膝を立て、腰を床に軽く近づけたまま片脚ずつ動かす練習が分かりやすいでしょう。

③ひねる・片側型/④動かないとつらい型

③ひねる・片側型では、勢いよく体をひねる動きや、左右で重さが違う持ち方を避けます。まず日常の癖を1つ変えることが先です。カバンを持つ側を意識的に入れ替える、脚を組む癖をやめる。そのうえで、左右の力の差を埋める運動を片側ずつ行います。

④動かないとつらい型で最も効くのは、種目より習慣です。30分から1時間に一度、立ち上がって背伸びをする。それだけで負担のかかり方が変わります。デスクワーク中心の方には、席を離れるきっかけを決めておく方法をおすすめしています。加えて、背骨全体をゆっくり丸める・反らすを繰り返す運動が向きます。

どのタイプでも共通する目安が1つあります。ストレッチや運動の最中に痛みが増えるなら、それは今のご自身に合っていないと判断してください。終わったあとに動きが軽くなるものだけを残します。「痛いけれど効いている気がする」という感覚は、腰に関しては当てになりません。

背骨と呼吸を土台から整える方法については、戸田公園でピラティスを始めるなら?理学療法士が選び方を解説でも詳しく紹介しています。

次に当てはまる場合は、運動を始める前に整形外科などの医療機関へご相談ください。

  • 安静時にも強い痛みが続く
  • 脚のしびれ、力の入りにくさ、感覚の鈍さがある
  • 夜間、痛みで目が覚める
  • 排尿・排便がしにくい
  • 転倒やけがのあと、痛みが続いている
  • 発熱をともなう、体重が減ってきた

当店は医療機関ではないため、診断や治療は行えません。受診の結果、運動の許可が出ている範囲でトレーニングをサポートいたします。

整形外科・整体・整骨院・ジムの使い分け

腰痛の相談先は複数あります。それぞれ役割が違うため、順番と組み合わせを知っておくと迷いません。

相談先 できること 向く場面
整形外科 検査・診断・投薬などの医療行為 強い痛み/しびれ/原因を確かめたいとき
整骨院・接骨院 けがに対する施術(一部で保険適用) 急に痛めた直後の対応
整体・リラクゼーション 硬くなった部分をゆるめる 張りや重さを楽にしたいとき
パーソナルジム 支える筋力づくり・姿勢と動作の見直し 戻りを防ぎたい/再発しにくい体を目指したいとき

※対応範囲は施設ごとに異なります。まずは痛みの強さで判断し、強い痛みや神経の症状があるときは医療機関を優先してください。

ゆるめる手段と、支える力をつける手段は、どちらか一方では完結しにくいものです。ゆるめただけでは、日常の姿勢や動作の癖が残るため戻りやすくなります。逆に硬いまま鍛えようとすると、動かせる範囲が狭いところに無理な力が加わります。ゆるめてから使えるようにするという順番が、遠回りになりません。

LIMITEDが腰痛のご相談で行っていること

当店には、運動が久しぶりの方が多くいらっしゃいます。お客様の約90%が運動初心者です。腰の不安があって運動をためらってきた方も、その多くを占めます。

そのため初回は、いきなり運動から入りません。どの動きでつらいのかを一緒に確かめ、痛みが出ない範囲を先に決めます。そのうえで、その範囲でできる運動を組み立てます。整体で硬い部分をゆるめてからトレーニングに移る流れも、同じ時間の中で行えます。ピラティスの要素を使い、呼吸と体幹の支えを整えるところから始める場合もあります。

東口店と西口店は併用でき、営業時間は7:00〜22:00です。仕事の前後どちらでも通えるため、埼京線で都内へ通勤される方にも使っていただいています。西口店にはキッズスペースがあり、お子様連れでもご相談いただけます。詳しい内容はメニュー料金のご案内戸田公園駅東口・西口の店舗情報でご確認ください。実際に変化された方の様子は運動初心者の方のビフォーアフター事例にまとめています。

よくある質問

腰痛があるときに筋トレをしても良いのでしょうか。

痛みが出ない範囲の運動であれば、続けたほうが良い場合が多くあります。ただし種目の選び方はタイプによって変わります。前かがみでつらい方が床から重い物を持ち上げる種目を行うと、負担が集中しやすくなります。まずは痛みの出ない動きを見つけ、そこから範囲を広げていく順番が安全です。強い痛みがある場合は、先に整形外科などの医療機関にご相談ください。

ストレッチをすると腰の痛みが強くなります。やめたほうが良いですか。

その動きが今のご自身のタイプに合っていない可能性があります。ストレッチは伸ばしている最中に痛みが増えず、終わったあとに動きが軽くなるものを選ぶのが目安です。伸ばすたびに痛みが強くなる、翌日に響くという場合は、その種目を続けずに別の方向の動きに変えてみてください。判断に迷うときは一度ご相談ください。

整体や整骨院に通っていますが、ジムにも通う意味はありますか。

役割が違うため、併用される方は多くいらっしゃいます。施術は硬くなった部分をゆるめて動きやすい状態をつくる手段です。一方で、その状態を保つには支える筋力と、日常の姿勢や動作の癖を変える取り組みが必要になります。LIMITED戸田公園では整体とトレーニングの両方を組み合わせ、ゆるめてから使えるようにする流れでサポートしています。

まとめ

腰痛への対策は、痛む場所より痛む動きから考えると絞り込めます。前かがみ、反らす、ひねる、じっとしている。この4つのうちどれでつらいかが分かれば、避けたい運動と進めたい運動が決まります。

そして腰は、周りが動かないぶん動かされすぎている場所です。胸と股関節の動き、呼吸とお腹の支えを取り戻すことが、負担を減らす近道になります。まず3日間、痛む動きを記録してみてください。

どこから始めればよいか判断が難しいときは、一度ご相談ください。戸田公園駅の当店では、理学療法士が痛みの出ない範囲を確かめながら運動を組み立てます。初回身体評価&体験トレーニング(60分・5,000円)をご用意しています。

呼吸と体幹の支えを整える方法をもう少し詳しく知りたい方は、戸田公園でピラティスを始めるときの選び方をご覧ください。通う場所そのものを検討中の方には、戸田公園のジムの選び方|理学療法士が教える5つの軸で、身体の不調がある場合にどのタイプを選ぶべきかを整理しています。腰だけでなく肩の重さも続いている方は、肩こりが揉んでも戻る理由|理学療法士が解説もあわせてご覧ください。