階段を下りるときに膝がずきっとする。それでも筋肉が落ちるから動いたほうがよいと聞くし、休むべきだという話も見かける。どちらが正しいのか分からないまま、運動そのものをやめてしまう方は少なくありません。結論から言うと、やって良いかどうかは種目の名前では決まりません。決めているのは痛みの出方です。この記事では、運動中と翌日で見分ける方法、膝に負担が集まる条件、そして受診をおすすめするサインまで整理します。
目次
膝が痛いとき筋トレをしてよいかは条件しだい
膝の痛みと運動については、正反対の情報が並んでいます。安静にすべきだと書かれた記事もあれば、筋力が落ちるから動いたほうがよいという記事もあります。どちらも間違いではありません。想定している膝の状態が、それぞれ違うだけです。
休む痛みと動かせる痛みがあります
ぶつけた直後や、ひねったあと。腫れていて熱を持っているとき。こうした痛みは、まず休ませる時期にあたります。組織が傷んでいる最中に負荷をかけても、良い方向には向かってくれません。
一方で、しばらく前から続いていて、動かし始めだけ重く、動いていると楽になる。この種類の痛みは、動かし方を選べば続けられることが多くなっています。問題は、この二つがどちらも「膝が痛い」という同じ言葉でまとめられていることです。だから検索しても答えが割れます。まずはご自身の痛みがどちらに近いかを見てください。
種目の名前では決まりません
スクワットは膝に悪い、脚を伸ばす種目なら安全。そうした種目単位の情報をよく見かけます。ですが同じスクワットでも、しゃがむ深さと膝の向きが変われば、膝にかかる力はまったく別のものになります。
逆に、膝にやさしいとされる種目でも、痛みの出る角度で行えば負担になります。見るべきは種目名ではなく、そのときの角度と向き、そして痛みの出方です。ここを押さえておくと、自分で判断できる範囲がぐっと広がってきます。
やって良いかは痛みの出方で見分けられます
ここからが実際の見分け方です。当店でも、膝に不安のある方にはこの二つを目安にしていただいています。どちらも特別な道具は必要ありません。
運動中に痛みが出るかを見ます
一つめは、動かしている最中の痛みです。顔をしかめる、息が止まる、動きをかばう。どれかが起きていれば、その角度か重さが合っていません。自分では気づきにくいので、表情と呼吸を目印にしてください。
大切なのは、我慢して回数をそろえないことです。痛みが出る手前で止めれば、その範囲は続けられます。曲げる範囲を狭くする、重さを軽くする、回数を減らす。どれか一つを変えるだけで、痛みの出ない範囲は見つかることがほとんどです。
翌日に残るかどうかを見ます
もう一つが、翌日の状態です。運動した日の夜や翌朝に、運動前より痛みが強くなっていないか。強くなっていても、おおむね一日で元の状態に戻るなら、負荷は許容できる範囲だったと考えられます。
反対に、翌日を越えても引かない、腫れが出た、曲げ伸ばしできる範囲が狭くなった。これらは負荷が大きすぎたサインです。次回は重さか回数を落としてください。運動した日と翌日の膝の様子をメモしておくと、判断がぶれにくくなります。
二つを組み合わせて判断します
この二つを並べると、次にどうするかが決まります。迷ったときの早見表として使ってみてください。
| 運動中の痛み | 翌日の状態 | 次にどうするか |
|---|---|---|
| 出ない | 変わらない | 同じ内容で続けます |
| 出ない | 少し重いが戻る | 回数だけ少し減らします |
| かばう動きが出る | 戻る | 曲げる範囲を浅くします |
| 強く出る | 翌日も残る | その種目は一度外します |
| 強く出る | 腫れが出た | 運動を止めて受診します |
膝に負担が集まる二つの条件
では、どんなときに膝へ負担が集まるのか。角度と向きの二つに分けると整理できます。
深く曲げるほどお皿の裏に力がかかります
膝のお皿(膝蓋骨・しつがいこつ)は、太ももの前の筋肉とすねの骨をつなぐ、滑車のような役割をしています。膝を深く曲げるほど、このお皿が太ももの骨に押しつけられる力は強くなります。
階段を下りるとき、しゃがみ込むとき、正座に近い姿勢のとき。これらで痛みが出やすいのはこのためです。裏を返せば、浅い範囲なら痛みが出ない方も多くいらっしゃいます。しゃがめないから運動できない、ではなく、どこまでなら痛くないかを先に確かめてください。
膝とつま先の向きがずれると負担が増えます
立ち上がるときに膝が内側へ入る。しゃがむと膝がつま先より内に寄る。この形は、膝の関節に横向きのねじれを加えます。膝はもともと曲げ伸ばしが得意な関節で、ねじれには強くありません。
鏡や窓に映して、膝のお皿が足の人差し指の方向を向いているか見てください。向きがそろっただけで、同じ動作でも膝の感じ方が変わる方は多くいらっしゃいます。
同じ種目でも答えが変わります
スクワットをしてよいかという質問に、一言で答えられない理由がここにあります。浅くしゃがみ、膝とつま先の向きがそろっていれば、続けられる方は少なくありません。深くしゃがんで膝が内へ入れば、同じ名前でもまったく別の運動です。
膝が痛いときにまず変えるべきは、種目そのものではなく深さと向きです。そこを変えても痛みが出るなら、その時点で種目を入れ替えます。順番を逆にすると、できる運動がどんどん減っていきます。
理学療法士の視点:膝の痛みは膝以外から来ます
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。膝そのものを鍛えても戻ってしまう場合、きっかけは膝の上下にあることがよくあります。
お尻が休むと膝が代わりに働きます
立ち上がる、階段を上る、しゃがむ。これらはすべて、股関節と膝と足首の三つが分担して行う動作です。分担のうち股関節が働かないと、その分を膝が引き受けます。
股関節を伸ばす主役はお尻の筋肉(大殿筋・だいでんきん)です。座っている時間が長いと、この筋肉が働く機会は減ります。デスクワーク中心の生活で膝に負担が寄りやすいのは、体重のせいだけではありません。座り姿勢と股関節の関係は、デスクワークの猫背と反り腰を解説した記事でも扱っています。
足首が硬いと膝が前に出ます
しゃがむとき、すねは前に倒れます。足首が硬くてすねが倒れないと、身体は別の方法でつり合いを取ります。多くの場合、膝を前に送り出すか、上体を大きく前へ倒すかのどちらかになります。
どちらも膝の前側に力が集まりやすい形です。膝の相談で来られた方の足首を見ると、硬さが残っていることは珍しくありません。膝だけを見ていると、この関係は見落とされます。
鍛える前に分担を戻します
太ももの前を鍛えること自体は有効です。ただ、股関節と足首が働かないままでは、鍛えた分もまた膝に集まります。膝だけを鍛えて一度は楽になり、しばらくして戻る。この繰り返しになりやすいのはこのためです。
当店で膝の相談を受けるときは、まず動作を見て、どこが働いていないかを確かめます。そのうえで、働いていない関節から順に戻していきます。ほぐして一時的に軽くなることと、動き方が変わることの違いは、整体とパーソナルジムの違いをまとめた記事で詳しくご紹介しています。
自宅でできる三つの確かめ方
読んだだけでは、自分に当てはまるかは分かりません。ご自宅で確かめられる方法を三つご紹介します。いずれも痛みの出ない範囲で行ってください。
壁に手をついて片脚立ち
壁に軽く手を添えて、片脚を上げて十秒ほど立ちます。このとき、骨盤が支えている脚と反対側へ落ちていないか、鏡で見てください。落ちるようなら、お尻の横の筋肉が休んでいる合図です。
左右で比べると、痛みのある側で落ちていることが多くなっています。その状態で歩けば、一歩ごとに膝へ横向きの力が加わります。
壁に向かって膝を前に出す
壁の前に立ち、足のつま先を壁から握りこぶし一つ分だけ離します。かかとを床につけたまま、膝を壁へ近づけてください。かかとが浮くか、膝が壁に届かなければ、足首が硬くなっている状態です。
硬い側は、しゃがむときに膝が前へ逃げやすくなります。ふくらはぎを伸ばす時間を毎日少し取るだけでも、動き方は変わってきます。
椅子に座って膝を伸ばす
椅子に深く座り、片脚をゆっくり伸ばして五秒とめ、ゆっくり下ろします。十回を目安に、痛みの出ない高さまでで構いません。太ももの前が温かくなれば働いています。
膝を深く曲げずに太ももの前を使えるため、しゃがむと痛む方でも取り組みやすい方法です。回数より、下ろす速さをゆっくり保つことを優先してください。
まず医療機関へご相談いただきたい例
- ひねった直後から痛む
- 腫れや熱っぽさがある
- 膝が引っかかって伸びない
- 歩いていて急に力が抜ける
- 夜も痛みで目が覚める
これらに当てはまる場合は、まず整形外科の受診をおすすめします。当店は医療機関ではないため、診断・治療は行えません。受診のうえで運動の許可が出ていれば、その範囲に合わせて内容を組み立てます。
戸田公園で相談するとき
ここまでは、ご自身で進められる範囲をまとめたものです。ただ、どこまでなら動かしてよいかの線引きは、身体によって変わります。
かばった動きは自分では見えません
痛みが続くと、身体は無意識に痛くない動き方を覚えます。膝をかばって反対側へ体重を乗せる、足を外に開いて歩く。本人には自然な動きに感じられるため、鏡がなければ気づけないものです。
当店では初回に、立ち上がりやしゃがみ込み、片脚立ちの様子を見て、どこをかばっているかを確認します。そのうえで、痛みの出ない範囲から負荷を決めていきます。運動を始めたばかりの方の進め方は、運動初心者の最初の一か月をまとめた記事もあわせてご覧ください。
整体とピラティスを組み合わせます
当店ではトレーニングに加えて、整体とピラティスを同じ担当者が組み合わせて進めます。硬くなった部分を整えてから動かすほうが、同じ運動でも膝にかかる力を抑えやすくなります。ピラティスの選び方は、戸田公園でピラティスを選ぶときの見方でご紹介しています。
トレーナーは全員が理学療法士で、お越しになる方の九割は運動初心者です。営業は七時から二十二時までで、東口店と西口店を併用できます。お子様連れの方には、キッズスペースのある西口店をご案内しています。腰にも不安のある方は、腰痛を動きの方向で四タイプに分けた記事が参考になります。どこに通うか迷っている段階の方は、失敗しないジムの選び方5つの軸をご覧ください。内容ごとの区分はメニュー・料金、場所は店舗情報からご確認いただけます。
よくある質問
膝が痛いときスクワットは避けるべき?
深さと膝の向きしだいです。浅くしゃがみ、膝のお皿がつま先と同じ方向を向いていれば、痛みが出ずに続けられる方は多くいらっしゃいます。反対に、深くしゃがんで膝が内側へ入る形では、同じスクワットでも膝にねじれと圧が加わります。まずは痛みの出ない深さを探し、その範囲だけで行ってみてください。腫れがある場合や痛みが強い場合は、運動より先に整形外科へご相談ください。
膝が痛い日は運動を休むべき?
すべて休む必要はありません。腫れや熱がある、ひねった直後といった場合は休ませる時期にあたります。一方で、動かし始めだけ重く、動いていると楽になる痛みであれば、痛みの出ない範囲で続けられることが多くなっています。膝を使う種目を減らし、上半身や体幹の種目に置き換える方法もあります。翌日に痛みが強く残るようなら、その日の量が多すぎたと考えて、次回は調整してください。
膝に負担が少ない筋トレはありますか?
膝を深く曲げずに行える種目は多くあります。椅子に座って膝を伸ばす運動、うつぶせで脚を後ろへ上げる運動、横向きで脚を上げる運動などです。いずれも体重を膝にかけずに、太ももやお尻を使えます。ただし負担がかかりにくい種目でも、痛みの出る角度で行えば負担になります。角度と回数は、痛みの出方を見ながら決めてください。
まとめ
膝が痛いときに筋トレをしてよいかは、種目名では決まりません。運動中に痛みが出るか、翌日に残るか。この二つで見分けられます。負担が集まるのは、深く曲げたときと、膝とつま先の向きがずれたときです。そして膝の痛みは、股関節や足首の働きが足りないことから生じている場合が少なくありません。膝だけを鍛えて戻ってしまう方は、上下の関節から見直してみてください。
とはいえ、かばった動き方はご自身では見えにくいものです。戸田公園駅の東口店・西口店では、理学療法士が動作を確認したうえで、痛みの出ない範囲から進め方をご提案しています。まずは初回身体評価&体験で、いまの状態を一緒に見てみませんか。
